保証人の保証債務と消滅時効
中国でも、日本と同じように、債権を担保する手段の一つとして「保証人」という制度があります。
一般の保証と連帯保証があるという点も同じです。
基本的な意味は同じなのですが、重要な点で、日本とは取扱いが違う部分がいくつかあり、今回の大テーマ「時効」という観点からも、日本とは大きく異なっています。
正確には、保証には「保証期間」というものが定められていて、これが消滅時効と似たような機能を果たしています。
保証債務の「保証期間」
中国法のもと、保証には、「保証期間」という考え方があります。
担保法第15条(契約の条件)
1 保証契約には、以下の内容が含まれなければならない。
(1)保証される主債務の種類及び額
(2)主債務の履行期限
(3)保証の方式
(4)保証の範囲
(5)保証期間
(6)当事者が約定する必要があるものと認めるその他の事項
この「保証期間」は合意によって決めることができるのですが、日本ではそのような扱いが一般的ではなからか、日系企業が債権者となり保証人を担保にするときに、この点を契約書に入れ忘れていることが結構多い印象です。
担保法第25条(一般保証の保証期間)
1 一般担保の保証人が、保証の期間を債権者と合意していない場合の保証期間は、主債務の履行期限到来日から6か月とする。
担保法第26条(連帯保証の保証期間)
1 連帯保証の保証人が、保証の期間を債権者と合意していない場合、債権者は、主債務の履行期限到来日から6か月以内において、保証人に対し保証債務の履行を請求することができる。
このように、保証期間の合意をしていない場合、6か月間という短い期間で保証債務が消滅してしまうことになりますので、まずは「最初が肝心」と肝に銘じておいてください。
ちなみに、2000年12月8日に公布・13日に施行された司法解釈
では、例えば「主債務の元利の全額弁済時まで」といった不明確な保証期間が定められていたような場合には保証期間を2年間する、という扱いにしており、保証期間について何も定めていなかった場合と比べると大きく結論が変わってきます。
保証債務に対する消滅時効の「中断」
一般保証の場合、保証期間内に、主債務者に対して訴訟提起等をした場合には、保証人の保証期間についても訴訟時効が中断します(担保法第25条2項、前述の司法解釈(法釈〔2000〕44号)第36条1項第1文)。
これに対し、連帯保証の場合は、
担保法第26条(連帯保証の保証期間)
2 ・・・保証の期間内において、債権者が保証人に対して保証責任の履行を請求しなかった場合、保証人は保証責任を免れる。
ということになっていますので、保証期間内に、連帯保証人に対して、保証責任の履行を請求しなければなりません。主債務者に対する請求だけでは、連帯保証人に対する訴訟時効は中断しませんので(前述の司法解釈(法釈〔2000〕44号)第36条1項第2文)、債権管理上、この点は十分に注意しておく必要があります。
<Maki Shimoji>