消滅時効が完成しない場合~「中止」と「中断」~

ブログの4月10日付記事、「【海外取引】未収金の時効管理~日本の法律が適用される場合②~」で、

日本の新しい民法では、時効の「完成猶予」と時効の「更新」というルール

がある、というお話をしました。

同じように、

 中国の法律では、時効の「中止」(※原文ママ)と時効の「中断」というルール

があります。

時効の「中止」

時効の「中止」というのは、例えば、訴訟時効期間の最後の6か月の間に、債権者が請求権を行使できない不可抗力事由があったような場合に、時効の進行が停止するというルールです(民法総則194条)。

今回の新型コロナウイルスのケースが、この「不可抗力」にあたるのかについては、今後争われるケースが出てくるかもしれません。

時効の「中断」

債権者が、未収金を管理する際に重要になるのは、時効の「中断」というルールです。

民法総則195条(時効の中断)

次の各号に掲げるいずれかの事由に該当する場合、訴訟時効は中断し、訴訟時効期間は、中断又は関連手続が終結したときから改めて計算する。

①権利者が義務者に履行を請求した場合

②義務者が義務の履行に同意した場合

③権利者が訴訟を提起し又は仲裁を申し立てた場合

④訴訟の提起又は仲裁の申立てと同等の効力を有するその他の事由

日本の法律では、「催告」は時効の完成を猶予させるだけのもので、しかも最初の1回しか使えないものでした。

中国法のもとでは、催告をすれば、訴訟を提起しなくても時効が中断し、また最初からカウントすることができるので、とても簡単ですね

時効期間は日本と比べると短くなりますのでその点は注意して、もしすぐに訴訟提起に踏み切れないということであれば、とりあえず催告書を出しておきましょう☝

後々、証拠として使える形で出しておくというのもポイントです。

ただ、時効の完成は遅らせらることができたとしても、時間が経つほど回収が難しくなりますので、早めに回収に向けて手を打っていくようにしましょう⚠

<Maki Shimoji>